漢方医学
漢方医学
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漢方医学と漢方薬の概要
漢方医学は古代中国に於て自然哲学の中に胎生し、三千数百年の年月をかけた人間の智恵と、経験的効果確認を経つゝ立体的な医方として組成されて参りました。
そして現代に至る過程に於て学問的には、古方派、後世派、折衷派の三学派に大別されています。
用いられる漢方薬も夫々の学派的見地から研究、啓発されており、学派によって使用される漢方薬も異なっています。概括的には西洋医学は特効薬を探す医学、漢方医学は薬の使い方を究明してゆく医学とも言われていますが、漢方薬の本質は「身体の調和を整え平衡状態を保たせる体質の薬」と申せましょうか・・・。
西洋医学では病名に因って薬が決定されますが、漢方医学は病名と更に“症候群”によって薬が組成されている点に特徴があります。
症候群・・・・・・「証」・・・・・・とは一つの漢方薬が適合(効く)する条件であって各種の症状、(例・・・・・・めまい、頭痛、頭重、血圧異常、肩こり、どうき、食欲不振・・・・・・その他等)を目標としています。この証に合せて組成された薬を選出しますが、個々人によってその量を増減したり、合方(二ツ以上の処方された薬を合一にする)したりして薬効が最高に発揮される方法を考えて選びます。従って、症状(又は病名)が同じであってもAの人、Bの人、個人差がある時は服用される漢方薬に差異がでてくるのは当然のことであります。
所謂「匙加減」が漢方薬の効果を左右することも多いのです。
こんな理由から、皆様が病名に因って御自身の判断だけで漢方薬を服用されると、期待された程の効果が出ないこともあります。漢方の代表的風邪薬といわれる「葛根湯」を風邪に用いる時は・極めて初期で、・悪感、・発熱、・項部肩背部の緊張感が適応の症候群となり、特に・が条件となっていますので風邪だから・・・・・・というだけで症候を無視して例え一ヶ月服用されても効果はありません。然し適応の症候群であれば一日分の服用で充分です。この様に漢方薬の組成要因は化学薬品、抗生物質、ホルモン剤等とは根本的に異りますので、漢方薬御服用の時は漢方薬以外の薬に対する知識を白紙に還されることが漢方薬を理解して頂く上に必要なことゝ言えるでしょう。
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漢方薬は永く服用しなければ効かない薬か? |
「漢方薬は永くかゝるから」・・・という噂から敬遠される人も多いことでしょう。
漢方薬は何故「永く服用しなければ効かない」か・・・?
この言葉の中には次の様な事柄から抽象的な言葉となった面も含まれていると思われます。
・ 前述の敬遠された人が見聞された漢方薬の概念に漢方薬だと思って民間薬を服用した人の経験談が混同されていないでしょうか?
民間薬は漢方薬に比較し一般的に薬効が劣るので、何年となく所謂「持薬」として服用することが多いものですから当然永い年月を服用し続けなければなりません。
漢方薬は、治療を目的とした薬ですから民間薬では期待できない素晴らしい速効性を有していますので例外はあっても何年間も連服しなければ効かないということは稀ですから安心して服用してください。
・ 次に漢方薬に頼ってこられる殆んどの人が何年、何十年となく病気に苦しめられたすえにということから、漢方薬でいう「虚証」‐自然治癒力の低下、衰退‐の人が多いことも一因でしょう。
「虚証」の人の場合には、治病力を補強するために、一定の期間が必要であり、それも老若男女の別によって個人差があります。「一定の期間」が何ヶ月と分かっていないことも苦しんでおられる方には不満足でありましょうし「早く元気になりたい」との願望の強い人には必然この期間が耐えられず人のすすめもあって他の療法に移る場合もあります。
「一定の期間」例えば三ヶ月であったとしても主観的にはAの人にはながい期間に思えBの人には短い期間に感じられたかも分りません。
この例からAの人が知人等に「漢方薬をながくのんだ・・・」と語れば、聞いた人は「漢方薬はながくかゝる」という概念を持たれることでしょう。確かにながく服用しなければ効かない人もありますが、服用者全体の数からみれば僅かな人達であって「漢方薬はながくかゝる」という一面のみが強く認識され漢方薬で効果のある人まで敬遠されることは、その人にとって益々誤った概念を深めることになりましょう。
次表は服用者の例です。服用の期間は各人各様で個人差があります。
然し闘病の年数からみて、漢方薬は比較的効果が早いと私は思いますがあなたの主観は如何でしょうか?
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2006年12月22日
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